夏とか子供時代とかなんかそんなの

 90年代後半、阪神淡路大震災やオウムによる地下鉄サリン事件などから何年か経った年。俺たちはガキだったこともあり、そんな事件は他人事で大人がなんか騒いでるなあとボケっとしていただけだった。本当にボケっとしていたかどうかは忘れてしまった。日々の生活がとても忙しかったような気もする。毎週のジャンプや新発売のゲームが人生を揺るがす大事件にも感じられ、心が休まる暇も無かったんだ。
 
 夏休み少年たちは一大決心をした。俺たちには熱意と勢いと行動力と決して多くはないが仲間がいた。抑えきれない思いのソリューションはイノベーションである(?)。そう秘密基地だ。
 城山公園の柵を越えた先。山の斜面を下り二、三人がゆうに入れるうろのある木が目印だ。基地には守るべき宝が必要だ。集めたビー玉、トレカ、エロに目覚めた奴がいなかったせいでエロ本は候補にすら上がらなかった。守るべきものが決まったら次は敵だ。誰かの兄貴が襲ってくるって事になっていた。小遣いをはたいて買った3000円のエアガンは30メートル先まで弾道がよれないポップアップ式だ。固い守りと団結力で基地は無敵の要塞のはずだった。
 しかし基地は脆くも崩れ去った。野盗の襲撃か?怪獣の到来か?天災?答えはわからない。毎日通うには大変な山の上だったからかもしれないし、誰かの塾が忙しくなったからかもしれないそれとも三日連続で続いた雨のせいだったのかもしれない。何にせよ少年たちには熱意と行動力と勢いはあったけれど、長期的な視野だとか根気だとか継続性だとかがなかったんだ。

 儚くも秋の半ば頃には、基地の話題は誰の口からも出てこなくなっていた。そんな頃、僕らは彼女に出会ったんだ。彼女、正確には彼かもしれないし、男女どちらかの括りではないことからそれと呼ぶのが適切なのかもしれないが…ここでは最初の印象で彼女だと思ったこともあり、彼女と表記させてもらう。
 彼女とは蛍狩り(小学生とはかくも野蛮なのである)に行った川べりで出会った。銀色の目がとても綺麗だったことを覚えている。名前はユウと言っていた。この地域のニンゲンでも発音しやすい便宜上の記号としてのユウとのことだった。本来の名前を聞いてはみたものの言語としての認識できなかったせいかイマイチ覚えていない。ただその音が歯車と子猫の鳴き声のちょうど中間くらいだったことが今でも印象深い。彼女はどうやら地球に観光にきたようであった。

  オチは特にないけどとりあえず書いてしまった。思いついたことを書くブログだから許して欲しい。まだまだ寒いけど体調崩すなよな。じゃあおやすみ!